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診療のスピードを上げる

診療のスピードアップ

院長の伝達力アップに伴い、診療がスピードアップした耳鼻科クリニックの話

表題にある通り、クライアント様の中で、スタッフの動きが素早くなるに伴い、 診療の質を落とすことなく、 診療がスピードアップした耳鼻咽喉科クリニック様がいらっしゃいます。

具体的に何をしたのかと言いますと、とてもシンプルなのですが、院長先生が診療中のスタッフの動きについて

「このような場面では、このように動いて欲しい」

「さっきの場面で、このような行動をしていたけど、そうではなくて、こういう動きを期待している」

と、診療中のスタッフの動きに対して「ここが良かった」「ここが良くなかった」ということを具体的にお伝えされるようになったのです。

余程とんでもないスタッフを採用していなければ、基本的にはスタッフは「患者さんやクリニックのために頑張りたい」という気持ちがあります。

その気持ちを行動に繋げてあげるために大切なことは、院長が考えや思いをしっかり伝えることです。伝えてないから、伝わっておらず、院長の期待する動きが出来ていないのです。

更にこのクライアント様の院長先生が素晴らしいのは、口頭でお伝えするだけでなく、文章でもお伝えしていることです。口頭だけですと、その時はちゃんと聞いているスタッフも、日々の診療の積み重ねの中で忘れてしまったり、その後、入社してくる新人スタッフにはそれが伝わらないというデメリットがあります。

文章に残すことで、それを読み返すことで思い出したり、新人スタッフもその文章を読むことで、多少は伝わるのです。

かねてから「経営者に必須な力は伝達力である」とお伝えしていますが、伝達力アップによって、診療スピードアップが実現した顕著な例でした。

小さな改善の積み重ねが、診療のスピードアップに繋がる

診療のスピードアップに限ったことではありませんが、どんな課題も小さな改善の積み重ねによって、後に大きな結果が出ます。

診療のスピードアップという観点で考えると、他院への紹介状の原本データを新元号である「令和」に修正する、ということも大切です。

令和後、原本データを修正していないと

・平成をバックスペースなどを押して消す
・令和と入力し直す

という行動が必要です。しかも多くのパソコンでは「れいわ」と入力しても「令和」になりませんので「れい」と打って「令」、「わ」を「和」と打たなければなりません。

それを院内にある全パソコンで、複数のスタッフが同じことをしていたら・・・考えただけで時間の無駄過ぎる光景です。

ちなみに私は新元号が発表になってすぐ、弊社スタッフに「社内にある全パソコンで『令和』を文字登録するように」と指示を出しました。やってくれてなかったらシャレになりませんが、まぁ大丈夫でしょう(笑)

このように小さな行動の改善の積み重ねが、後に大きな結果をもたらすのです。たかが1秒、されど1秒です。

時間について真剣に向き合っている者だけが、時間にも愛される(時間を有意義に使える)のです。

パソコンスキルを上げよう!

今は何でもかんでもデジタル化の時代です。

パソコンスキルを上げる事で、業務スピードが上がります。例えば、印刷する際、マウスを使って、印刷マークのアイコンをクリックして…とやるよりも、Ctrl(コントロール)キーと「P」を押す事で、すぐに印刷画面が表示されます。

このような事も含めて、スタッフはパソコンスキルを上げる事が大切です。
ただしこれは院長はパソコンに強くなくて良いという訳ではありません。

と言うのも、私のクライアントでもパソコンスキルが高い院長の下には、パソコンスキルが高いスタッフが集まる傾向にあるからです。

「いやいや、もう自分は年だから、パソコンなんて良いよ」と言わずに、ぜひ積極的にそのような世界に飛び込んでいく事が大切です。

私のクライアントでは、院内のプロジェクトをLINEでコミュニケーションを取る事で、進めているクリニックがありますが、先日院長先生が「どんなやりとりをしているのか把握したいので、私もLINEのメンバーに入れて下さい」とおっしゃっていました。

そのような積極性が素晴らしいですね!

混雑予想を掲示する

正確には「診療のスピードを上げるには?」には合致しない内容ですが、患者様の待ち時間対策として有効な手法ですのでお伝えします。

待ち時間.JPG
今はとにかくネット社会ですので、出来うる限りの情報をクリニックのホームページに記載する事をオススメします。

上記は弊社がプロデュースさせて頂いた、ある眼科クリニックのホームページの「初めての方へ」というコンテンツに記載されている「混雑予想」です。

基本的に医療は予め来院が分かっているというよりは、突発的なものだと思いますが、それでもこのような記載がある事で「土曜日は混んでいるのか。じゃあ水曜日に行くか」という患者様が少なからずいれば、この取り組みには意味があります。

これは曜日毎の混雑予想ですが、この他に例えば「更に詳細な時間帯における混雑予想」「1ヶ月毎の混雑予想」などを掲載するのも良いと思います。

スタッフ全員が、もう少しだけ、出来る事が増えたとしたら・・・

それが院長のやりたい医療かどうかはともかく、最も効率が良い布陣は、「全スタッフ、全ての業務が出来る」という事になります。

これが「電話応対は受付がやるので、診察室のスタッフは電話は取らない(取れない)」「診察介助は診察室のスタッフがやるので、受付スタッフが手が空いても、介助には入らない」など、ひとりひとりのスタッフが出来ない事が増えていくと、ある部門だけ凄く忙しく、他の部門は手が空いていて、手持無沙汰であるような、いわゆる「ボトルネック」が生じます。

ボトルネックを生み出しにくいようにするためには、定期的に全スタッフが「出来ること」「出来ないこと」を洗い出し、その中で「その職種がやってはいけない事」は、もちろんやってはいけませんが「もし、これが出来るようになったら、より診療がスピーディーに回るな」という事があるなら、その業務の習得は必要です。

ぜひミーティングなどで、各自のスキルを洗い出してみて下さい。

インカムの導入について

医科クリニックと歯科クリニックの大きな違いなひとつは、医科は完全な予約制ではないという点です(診療科目や診療方針によって、医科でも完全予約制を導入しているクリニックもありますが)。

一日の流れが読めない分、スタッフに求められる力は「スピード」と「先読み行動」です。

その他、ツールとして有効なもののひとつに、インカムがあります。

私のクライアントでもインカムを導入しているクリニックはあります。
導入率は私のクライアント全体の60%程度です。

インカムを導入する際の注意点は、

1.まずデモ機を借りて、テストしてみる
インカムは大体1機1万円はします。
いきなりスタッフの人数分を導入してしまうのは、リスクが高いですので、業者に「まずデモで導入したい」という旨を伝え、数日間テストする事をお勧めします。

2.テストは、各部門長が行う
おそらく業者はスタッフの人数分のデモ機を貸してくれる訳ではないと思います。
貸し出し機数が限られている場合には、受付チーフ、看護師チーフ、臨床検査技師チーフなど、各部門のチーフや、最もキャリアの長いスタッフに装着してもらうと良いです。

3.インカムに対して、前向きな気持ちを院内に浸透させる
インカムに限らず、そもそも「100%良い面しか無い取組み」など、存在しません。インカムについて言えば
「耳が痛くなりやすい」
「患者さんと話をしている時に、声が聞こえてくると集中出来ない」
「ハッキリ言ってくれないと、何を言ってるか分からない事がある」

などのマイナス意見が出る事が予想され、それらの意見もあながち間違いでないだけに、マイナスの意見を重視していると「そもそもインカムが必要なのか?」という根本的な議論に発展してしまい、物事が進まないという事が十分考えられます。

ミーティングなどで、院長(またはチーフ)から「こういう点がマイナス面として、考えられるけど、逆にこういう面でプラスがあると判断しましたので、インカムを導入します」という形に持っていく事が大切かと思います。

「喉元過ぎれば・・・」ではありませんが、導入前はマイナスな意見を持っていたスタッフも、実際に使ってみると、その便利が理解出来るという事が往々にしてあります。

スピードアップに向けて、まず大切なもの

医科クリニックは歯科と違い、殆どが保険診療です。来院人数が医業収入に直結しますので、より多くの患者を、限られた時間の中で診ていく必要があります。必然的にスピードが求められます。

クリニック全体のスピードを上げるために不可欠なのは、トップである院長がスピードを上げる事に対して、高い意識があるかどうかという事です。
掲示.JPG
例えばこのクリニックでは、院内(もちろん患者の見えない場所です)にこのような掲示がされています。時間に対しての意識の高さを感じます。

ちなみに弊社では「当院で働く上で不可欠な3つのS」と題し、そのひとつに「Speed」を挙げています。このようなところから、迅速に行動する事の大切さを伝えているのです。

様々なノウハウやツールを導入する前に、そもそもクリニック全体に時間に対しての高い意識があるかどうかを考えてみて下さい。

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